(水)特別に学会の原稿を発表します!

http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/i/i-noboru/20070328/20070328212214.gif(更新時間 木曜日の28:15)

x-large;font-weight:bold;color:#FF6600;">http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/i/i-noboru/20070509/20070509231107.gif特別に学会の原稿を発表します!:朝倉先生の許可を得て、プライマリケア学会 近畿地方会 in奈良(2007年11月25日)」の原稿を掲載させてもらいました!ここまでうまいこと仕上げていただき、父親も喜んでおります!ほんとありがたいことです。

ALS患者家族のITを用いた取り組み

large;font-weight:bold;color:#0000FF;">はじめに:近年のIT革命により、比較的容易に情報収集、情報発信が可能となる時代になってきました。Weblog(以下ブログ)はインターネットを介して、個人の日記や思い、考え、写真などをWeb上に公開することができるツールです。様々なサービスを用いることで、特別な費用や特別な知識を必要とせず利用することができます。一方、筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は、進行する筋力低下に対して、認知機能はまったく正常に保たれる神経難病ですが、当該患者は病状の進行とともにコミュニケーションが阻害され、その喪失感は実に大きなものと考えられます。
large;font-weight:bold;color:#0000FF;">目的:今回、ALS患者家族が行っている意義深い2つの取り組みについてご報告させていただきます。第一に、6ヶ月の闘病ブログを通して得られた様々な効果について、第二に、筋力が低下したALS患者の意思伝達手段として家庭用ゲーム機「任天堂Wii」のコントローラが大変有用であるということの2点です。
large;font-weight:bold;color:#0000FF;">症例:60歳台の男性で、約2年前よりALSを発症しており、現在はNIPPV、PEGを使用、在宅での療養を行っております。主な意思伝達手段はコミュニケーションボードを用いた指差し法です。約6ヶ月前、在宅療養が開始されたときより長男を中心にブログ活動が続けられています。

「患者家族を支える様々な連携をブログの中に表現し、関わる人たちのモチベーションを高めたい」との思いでブログ活動がスタートされました。
ほぼ毎日更新されていますが、具体的な内容は「日常生活」「患者や家族の考え、思い」「家族の歴史」「ALS関連ニュース」「暮らしの知恵」「お礼など」が含まれ、多くの写真と組み合わせて掲載されています。ブログ読む読者は、それらに対して様々なコメントを投稿します。

ブログ開始当初は患者自身がパソコンを用いてブログにコメントを載せることもありました。現在は主に長男が行っています。
日常生活の様々な工夫が載せられます。苦労話が多いのですが、現場の中ではこのような裏話が非常に役立つものと思われます。在宅で療養を行う他のALS患者にとっても参考になるでしょう。
その日、訪れた看護研修生や、お見舞いの様子がさっそくブログに載せられます。研修生からお礼のメッセージが投稿されることも少なくありません。
患者家族の昔の思い出が載せられることもあり、家族自身にとっても家族の歴史を俯瞰するきっかけになったようです。
ALS関連ニュースも掲載され、意見も合わせて載せられます。

large;font-weight:bold;color:#0000FF;">ブログの効果:6ヶ月間のブログ活動は、まさに「本人と家族、そこに関わる人々の作品」と言えますが、様々な効果も生み出しました。

ア.遠方にいる家族や親類に近況がよく伝わりますが、「様子がよく分かる」といって感謝されることが多いようです。
イ.また読者の投稿は本人や家族にとって激励のメッセージとなり、診断がついた後、悲観的な発言が多かった患者も明るく冗談を言うことが多くなりました。
ウ.また、ALS療養における様々なノウハウを発信することは非常に意義深いもので、他のALS患者にとっても有用であるものと考えられます。
エ.これらの取り組みは、患者本人に関わる様々な人たちにとっても励みになっていると言えます。ブログ開始当初に期待された目的を見事に達成しているものと思われます。

large;font-weight:bold;color:#0000FF;">コミュニケーションについて:さて、ALSの進行する症状の一つに球麻痺がありますが、このため徐々に発語が難しくなり、コミュニケーションが困難となります。現在、主にコミュニケーションボードを指差しながら会話を進めていくことが多いのですが、筋力低下に伴い、長時間の会話には不向きです。また将来的にはこの方法も難しくなる可能性もあります。そのような中、据え置き型家庭ゲーム機「任天堂Wii」のコントローラが非常に有用なツールとなることが分かりました。このコントローラは、片手でテレビ画面に向けるだけで、まさにリモコン感覚で簡単に操作ができます。コミュニケーションボードと同様に五十音から選択しますが、操作が簡単であること、記録が残るため、意思や考えを表現するには向いていることなどが優れているといえます。

実際に操作を行っている様子ですが、リモコンを握ることができれば充分に操作が可能といえます。因みにWiiはゲーム機としての機能以外に、インターネットやメールなどを行うことができ、現在、それらも利用されています。
長文を記録することができるという点から、本人及びスタッフ間で行うカンファレンスなどでは、事前に本人の意見や希望を入力しておいてもらうことができ、大変重宝しました。

このように、ブログなどITツールを上手く活用することで、機能障害の進行したALS患者にとっても様々な工夫を行うことができるといえます。また家庭用ゲーム機Wiiのコントローラは、筋力の低下したALS患者にとっても比較的小さな労力で入力作業を行うことができ、大変有用だと言えます。